ロシア語の音の変化

ロシア語には硬い音と軟らかい音があります。

音声学的には硬音は非口蓋化音という普通の音、軟音は口蓋化音という口蓋の近くで発せられる音(ref.ロシア語講座:初級|ロシア学事始)ということらしい。よくわからないけど。

硬母音と軟母音

ロシア語アルファベットの母音のところで触れたように母音には硬軟のペアがあります。

硬母音 а ы у э о
軟母音 я и ю е ё

ыиだけは例外ですが、「ア」行の音が硬母音で「ヤ」行の音が軟母音です。あるいは軟母音はйを伴った硬母音と言えるかも。

基本的に子音の音はそれぞれが伴う母音の音に引きずられて変化します。

硬子音と軟子音

ロシア語アルファベットの子音のところで子音の音をまとめましたが、実際には硬子音の時と軟子音の時とでは発音が異なります。

  • 子音 + 硬母音 = 硬子音 + 硬母音
  • 子音 + 軟母音 = 軟子音 + 軟母音

前述のとおりほとんどの子音が硬母音を伴うと硬子音に、軟母音を伴うと軟子音の発音になります。特にтдの音は大きく変化し、軟子音の時の発音がそれぞれчзжの音に近くなって聞き分けづらくなります。

また、例外的に硬子音または軟子音の音しか持たない子音は以下の6文字です。

硬子音 ж ц ш
軟子音 ч щ й

これらの子音は通常の子音とは逆に、後に続く母音のほうが子音に合わせて変化し、子音の音が変わることはありません。

  • 硬子音 + 軟母音 = 硬子音 + 硬母音
  • 軟子音 + 硬母音 = 軟子音 + 軟母音

軟音記号のьと硬音記号のъ

ロシア語アルファベットでは全33文字のうち音のある31文字についてまとめました。ここから漏れたのが軟音記号のЬ / ь / ьмягкий знак)と硬音記号のЪ / ъ / ътвёрдый знак)。

軟音記号ьはその直前の子音を軟音化する記号です。ロシア語アルファベットの子音のところに書いたのは基本的に硬子音の音(ч,щ,йを除く)ですが、軟音記号が付くとйを伴ったような音になり、軟音化されます。以下のようなイメージです。

  • 硬子音「л」の音:”l”
  • 軟音化された「ль」の音:”ly”

一方、硬音記号のъは直前の子音を硬子音として読みます。その上で続く母音は軟母音のまま、直前の硬子音とは別の音節として発音されます。

  • 子音 + 軟母音 = 軟子音 + 軟母音
  • 子音 + ъ + 軟母音 = 硬子音, 軟母音

これら軟音と硬音にどんな意味があるのかはよくわかりませんが、とりあえずそういうルールです。

有声子音の無声化と無声子音の有声化

さて、ややこしいついでにもうひとつ。子音には有声子音と無声子音のペアがあります。有声子音は声帯が震える子音、無声子音は声帯が震えない子音で以下の6組です。

有声子音 б в г д ж з
無声子音 п ф к т ш с

これらについては以下のようなルールで音が変化します。

  • 有声子音が語末または無声子音直前にある場合は無声化する
  • ф」を除く無声子音が有声子音直前にある場合は有声化する

まぁ、英語でも語末の”d”音を”t”で発音したりするので何となく理解できる。けど、こんな感じでめまぐるしく音が変化したのちにударениеを考慮して母音の弱化で音が変わるなんて、瞬時に対応できる気がしないよ。。。